「建設業許可を取って独立開業をしたいのだけど、いったい何から始めれば良いかわからない。」
という方のために、このページでは建設業許可を取って独立開業するときにやるべきことを優しく解説しておりますので是非ご覧くだい。
まずは、建設業で独立開業するときのざっくりした流れから見ていきましょう。
建設業で独立開業するときのざっくりした流れ
建設業許可を取って独立開業する場合の流れは、ざっくり下記の7段階に分けられます。
- 開業資金の準備
- 事務所の準備
- 会社設立(必要な場合のみ)
- 開業届の提出
- 銀行口座開設(必要な場合のみ)
- 建設業許可取得
- 業務開始
段階ごとに注意すべきポイントがあるので、以下で詳しく見ていきましょう。
開業資金の準備
後にもご説明しますが、建設業許可を取るには最低でも「500万円の自己資本」が必要となります。自己資本とは簡単に言うと会社を運営するための資金で、開業の形態と自己資本の関係は下記のようになります。
- 個人で独立開業する方=500万円以上の現金預貯金があること。
- 会社を設立して独立開業する方=資本金500万円以上で会社を設立すること。
- 既に会社を持っている方=直近会計年度の決算書上の純資産が500万円以上であること。または会社名義の口座の預金残高が500万円以上であること。
開業資金は、上記にプラスして事務所の賃料・保証金やパソコンなどの什器備品、建設業を行うのに必要な工具類などの購入費用などがかかります。FAX・コピー機はいきなりリースでなくても、家庭用のコピー機で様子を見るのが良いでしょう。
独立開業すると思いのほか揃えるものが多く、費用がかかるためできるだけランニングコストは抑えるようにすることをお勧めします。
事務所の準備
会社勤めだったときと違い、独立開業するということは事務所となるスペースを自分自身で確保する必要があります。
事務所とする場所は、自宅でも良いし、自宅以外の場所を借りても構いません。もちろん建物を購入しても大丈夫です。
以下で自宅、自宅以外の場所を借りる場合、建物を購入する場合のメリットとデメリットについてご説明します。
自宅を事務所にする場合のメリットとデメリット
自宅を事務所にする場合のメリットは何と言っても通勤に時間がかからないところです。現場帰りに事務作業をするにしても、自宅に帰るだけなので面倒に感じることもありません。
自宅が借家の場合は、賃料の何割かを経費にすることも可能です。生活するための備品も揃っているため改めて買う必要もありません。
デメリットは仕事とプライベートの区別がつきにくくなることが挙げられます。
自宅以外の場所を借りる場合のメリットとデメリット
自宅以外の場所、例えば店舗事務所などを借りる場合のメリットは対外的な信用負度が増すことです。人は見た目で相手をどんな人か判断します。事務所を構えて開業しているとなれば、はたから見ればそれだけ仕事が繁盛していると思われるため信用度も上がります。
その他のメリットとしては、自宅開業の場合とは逆に仕事とプライベートの区別がつきやすいことが挙げられます。
デメリットは、賃料などの経費がかかること。事務用品やOA機器などの什器備品類を一から揃えなければいけないことです。
私も経験していますが、事務所を借りるとボールペン1本から自分で揃えなければなりません。事務所としての体を整えるため備品類を揃えるには、意外に費用がかかるので注意してください。
会社設立(必要な場合のみ)
建設業許可取得と同時に会社設立をするべきかどうかの判断基準は?
まず、建設業許可取得と同時に会社設立をするべきかどうかの判断の仕方です。開業初年度から売上がおよそ500万円を越えると予測できる場合は、会社設立することをおすすめします。
なぜなら個人事業主として所得税を支払うよりも、法人成りして法人税を支払うほうが安くなるボーダーラインがおよそ500万円だからです。
おそらく建設業許可を取って独立開業するとなれば、年間の売上は500万円を越えるケースの方が多いでしょう。個人事業主にこだわる場合以外は、年間売上の見込みが500万円を超える予測がつけば会社設立を視野に入れましょう。
会社設立で注意するポイントとは?
建設業許可を取るにあたって会社設立する場合で最も気を付けることは、資本金を500万円以上にすることです。
なぜなら、先にも述べたように建設業許可取得の条件として、自己資本500万円が必要となるからです。会社を設立するときの資本金を500万円以上にしておけば、自己資本の条件はクリアできることになります。
開業届の提出
税務署へ開業届を提出します。開業届の様式は国税庁のホームぺージからダウンロードできます。記載例などもあるため、作成するのにさほど苦労はないでしょう。
個人事業主の場合、提出時の添付書類はありませんが、法人の場合は定款や登記簿謄本の写しやなどが必要になります。
開業届提出で注意すべきポイントは、税務署に提出した開業届の写し(副本)をしっかり保管しておくことです。
開業届の写しは、銀行口座の解説や助成金の申請などで度々必要になります。保管した場所を忘れたりすると、探すのに一苦労し、時間の浪費になってしまいます。
銀行口座の解説
開業届提出を済ませたら、銀行口座を開設します。法人を設立して建設業許可を取る場合は口座開設は必須となります。
個人で建設業許可を取る場合は、今ある銀行口座を使っても、新たに事業用の口座を開設してもどちらでも構いません。
建設業許可取得
会社設立、銀行口座開設ができたら、次は建設業許可取得です。建設業許可の重要な条件は大きく分けて次の3つです。
条件1|経営業務の管理責任者が1人以上いること
経営業務の管理責任者とは簡単に言うと「建設業に係る仕事の経営経験のある人」のことです。経営業務の管理責任者は、あなたが行う建設業の経営幹部としなければなりません。
経営幹部とは、会社で言えば役員。個人事業主であれば事業主のことです。
経営業務の管理責任者は誰でもなれるわけではなく、一定の条件をクリアしている人でなければなりません。その条件は下記のとおりです。
- 許可を受けようとしている建設業の業種に関して、5年以上経営者=経営業務の管理責任者としての経験があること。
- 許可を受けようとする建設業の業種以外に関して、7年以上経営者=経営業務の管理責任者としての経験があること。
- 許可を受けようとする建設業の業種に関して、経営業務管理責任者に準ずる地位にあって次のいずれかに該当していること。
- 経営業務の執行に関して取締役会の決議を経て取締役会または代表取締役から具体的な権限を受け、かつその権限に基づき執行役員として5年以上建設業の経営業務を総合的に管理した経験
- 7年以上経営業務を補佐した経験
1を簡単に言うと「会社の執行役員として5年以上経営業務を管理していた経験がある。」
2を簡単に言うと「会社の支店長や支社長として経営業務を行っていた経験が7年以上ある。」
となります。
1または2に該当するかは、個別具体的なケースとなる場合が多いため、建設業許可申請の受付窓口で事前相談することをおすすめします。
条件2|専任技術者が1人以上いること
専任技術者とは建設業29業種に応じた一定の資格または経験を持っている者のことです。
「一定の経験」とは以下のいずれかのことです。
- 建設業の業種に応じた10年以上の実務経験。
- 大学・高等専門学校の建設業の業種に応じた指定学科を卒業したあと3年または5年以上の実務経験。
「資格」とは、一級建築士や一級施工管理技士などの資格とされています。
経営業務の管理責任者と専任技術者は同じ人でも良いの?
経営業務の管理責任者と専任技術者は同じ人でも構いません。したがって、経営業務責任者となる人が10年以上の経験または資格を持っていれば専任技術者にもなれるということです。
条件3|財産的な基礎=定められたお金があること
建設許可を取るためには、500万円以上の自己資本があることが条件となります。この条件を満たせなければ上記2つの条件を満たしていても許可を取ることができません。
自己資本とは会社で言えば、建設業許可申請をする直前の決算書の貸借対照表上の「純資産の額」、または申請者の口座に500万円以上の預金があることを銀行が発行する残高証明書で証明できることです。
建設業許可取得にあたって会社を設立する場合は、設立から1期を迎える前であれば資本金500万円以上で設立すれば財産的な基礎の条件はクリアしたことになります。
その他の条件
上記3つの条件のほかに、一般的には大方の申請者がクリアできる条件が存在します。その内容は下記のとおりです。
- 誠実性:請負契約や、その契約の遂行に対して誠実であること。
- 欠格要件:建設業許可申請書やそのたの添付書類に嘘偽りがあったり、重要な事実に関する記載が抜けていないこと。
まとめ
建設業許可を取得して独立開業するときの流れをご説明しました。一番のポイントはやはり建設業許可取得の条件に該当するかどうかです。
許可取得条件の中でもとくに経営業務の管理責任者に該当する人がいるかがカギとなります。会社の場合は該当者がいなければ外部から招き入れることもできますが、個人事業主の場合は事業主以外が経営業務の管理責任者になることはできません。
独立開業と同時に会社設立するという方は、建設業許可取得の条件がクリアできていることがわかったら会社設立を行いましょう。
建設業許可の条件に該当できるか心配だという方は、専門家に話を聞いて欲しいという方は名古屋市は名駅の行政書士事務所シフトアップへお気軽にご相談ください。
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