建設業と労災保険の深い関わり

建設業に関わる皆さまにおきましては、日頃から労働災害発生防止に日々尽力されていることと存じます。

しかしながら、厚生労働省の統計によると、平成25年度の死亡災害は461人で建設業がトップ保険給付支払額も2,250億と建設業がトップとなっております。

死亡災害の事故状況は、墜落207人(約45%)、建設機械による災害が126人(約27%)という状況です。

このような状況を踏まえ、皆様におかれましては、政府事業であるいわゆる政府労災にご加入中と思います。しかし、経営事項審査の審査項目にも法定外労災加入の有無があるように、法定外労災(民間保険会社や建設組合によるもの)への加入をなぜ推奨しているのでしょうか?

元保険代理店の経験も交えて労災についての問題点などをご説明させて頂きます。

政府労災の死亡災害時の保険給付の額は十分か?

まず、政府労災とは何でしょうか?

労働者災害補償保険法に基づき、業務上災害や、通勤途上での災害で、労働者が負傷、死亡などした場合に、残された遺族に法律で定められた保険給付を行う制度です。

しかしながら、労災事故による裁判が後を絶たないのは、政府労災の給付額で、特に死亡災害時に遺族への補償が十分行われないことが原因です。

以外に知らない労災保険給付額

給付基礎日額1万円で算定基礎日額2,000円の妻と未成年の子供がいる従業員が死亡した場合に支払われる保険給付は

  • 事故のあった初年度で遺族特別支給金300万円+遺族特別年金300万円ほどの600万円

たったこれだけしか支払われないのです。これに対し、労災死亡事故による裁判所の判例では

  • 六脚ブロックに挟まれ、胸部を圧迫され死亡・・・支払額4900万円
  • 防水工事中、建物屋上より落下し死亡・・・支払額4800万円
  • 材倉庫内で外部壁面シート張り替え作業中、落下し死亡・・・4200万円

と高額な賠償金の支払いが命じられています。

誰が支払うのかと言えば、死亡した従業員の雇用主や元請業者になるわけですが、按分して支払うことになるとしても、何千万という金額を支払うことになれば、会社の存続自体に影響を及ぼしてしまいます

実例

私が保険代理店時代に実際にあった話ですが、建設業を営む㈱A工業の従業員が作業中に高所から転落して死亡しました。裁判の結果、遺族への損害賠償額は3,000万円。

政府労災にしか加入していなかった㈱A工業の社長は、遺族への賠償金を支払うため、会社を売却し、残りの賠償金を今でも毎月支払っています。

建設業における法定外労災の必要性

上記でご覧いただきましたように、実際に死亡災害による高額な賠償金の支払いは他人事ではありません。そして、万が一の死亡災害時等に政府労災だけではまかないきれません。

そのために、民間保険会社や共済が法定外労災を発売しております。法定外労災は、1事故1000万~1億まで(保険会社により異なります)、万が一の死亡事故時にお支払いできるような商品です。

しかも、保険会社への毎月の支払いは損金扱いができます。転ばぬ先の杖として必ずご加入してください。年間数万円の支払いをしておけば不測の事態に備えられるということです。

もし、保険会社を紹介して欲しいというご要望があれば尽力いたしますので、かわい行政書士事務所にお気軽にご相談ください。

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